倒されることで出来るようになることもある
ガードが下がっていると相手の攻撃を食らいます。だからどの選手も絶対にガードを下げないのが基本です。
しかしこのガードというものは、いくら注意していてもだんだん下がってきます。
それはなぜか?
一つは単純に「グローブが重い」からです。
16オンスのグローブは結構重たいです。それをはめて3分間、顔の前まで腕を上げ続けるとそれだけで腕がだるくなるほどです。
そして、パンチを出しているとその重さに加え衝撃もあり、だんだんクローブが重たく感じてガードが下がっていきます。
もう一つ、これが本当の理由ですが「攻撃され慣れていない」です。
いいパンチをいい角度で急所にもらうとフルパワーで殴らなくても、いとも簡単にKOしてしまいます。
意識ごと持って行かれて頭がクラクラして立てなくなります。
そのパンチをもらった経験があるかどうかでガードの固さは決まります。
はっきり言ってしまえば、攻撃をもらいたくないから絶対に下げなくなります。試合でガードが下がった瞬間にガードの空いた部分を狙われます。
そこでいい角度でいいスピードでもらってしまったら即KO負けになってしまうので絶対にガードを下げなくなります。
なので、マススパーリングや、やさしいスパーリングしかしたことのない練習生は全員ガードが下がっています。
強い選手や何度もいいパンチをもらった経験があると二度ともらいたくないのでしっかりガードをするか、相手のパンチが絶対当たらない距離にいます。
これは仕事においても同じで、
失敗を恐れてゆるい仕事しかしていないとどうしてもガードが甘くなります。
どんなにすごいと思っている人でも失敗しない人はいません。
格闘家も同じようにどんなに強い人でも倒されたことのない格闘家はいません。何度も倒されているからこそ、もう倒されたくないと思うからこそ、ガードが完璧になっていきます。
それとおなじでもう、失敗したくないと思うからこそ、細かい詰めまでしっかりとするようになります。
失敗しないとできないこともたくさんあります。